加速器・粒子線実験施設セミナー(TAcLKU2025年度)を開催しました
Last Update 2026.01.19
2026年1月16日に2025年度の「加速器・粒子線実験施設セミナー」が第一会議室で開催されました。
報告者を含めて9名という決して大人数ではありませんでしたが、基礎領域だけでなく、応用領域とガバナンス領域の教員も参加しました。報告内容に関わる質疑応答と共に、施設の予算上の問題等も含めた深い議論が交わされました。
谷池晃准教授(研究基盤センター・加速器部門長)から、セミナーが開催できなかった2024年度の実績も併せて、2025年度の静電加速器(5SDH2)の稼働・利用状況が報告されました。海事科学研究科だけでなく、理学研究科をはじめとする他学部・他研究科、大阪大学やKEKの愛称(略称)で知られる高エネルギー加速器研究機構からも利用されています。現在の素粒子論・宇宙論上の大きな謎とされる「暗黒物質(ダークマター)」用検出器開発の研究には本学静電加速器が中性子を安全に発生・利用できる稀有な施設であることが条件になっています。また、日本を代表する半導体製造装置メーカーからも利用されていますが、それは本学静電加速器のエネルギーが高い安定性を持っていることが条件になっています。
山内知也教授(TAcLKU施設長)からは、昨年2月に本学静電加速器の研究成果に基づいて発表された「He-3検出論文」についての報告と、これに関連する外部資金で導入された実験機器の紹介、そして現在進めている施設充実のための計画について報告がありました。He-3を検出するために利用した重水素ビームとCR-39飛跡検出器が共に本学静電加速器のこれまでの研究成果の上に立って上手く活かされたことが強調されました。そして、素材の微細組織観察や元素分析が可能なSEM-EDXと結晶構造が分析できるXRDを、エネルギー科学関連だけでなく、材料科学や地質学、環境科学のためにも活用してもらいたいという利用案内が行われました。
He-3の検出は、軽水素を利用した新しいエネルギー源として研究が進められている「常温核融合」を実証しているとされています。これの発熱を利用するための共同研究をさらに進めると共に、動力や発電に利用する研究、新しい発熱体を開発しようとする研究を内外の広い枠組みで進める準備がなされていることが紹介されました。
施設では、このようなセミナーを毎年開催してゆく予定です。
ご参加してくださった皆さま、ありがとうございました。
He-3検出論文(オープンアクセス)ダウンロード数は3500件を超えています。
https://iopscience.iop.org/article/10.35848/1347-4065/ada658
解説記事:
https://www.maritime.kobe-u.ac.jp/study/20250203.html