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研究活動

研究推進:輸送の三原則

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文部科学省:特別教育研究推進(研究推進)

海事科学研究科は平成20年度文部科学省の特別教育研究推進(研究推進)に採択され、研究を実施しています。

事業名

「輸送の三原則を統合した国際海上輸送システム創出の研究」

キーワード

戦略的研究推進、国内・国際輸送貢献、地球環境保全、自然科学と社会科学系分野の連携

概要

これまで個別に研究対象とされていた、国際海上輸送の三原則である安心・安全、経済性、環境保全を統合し、海運国日本が世界を先導する国際海上輸送の研究を自然科学と社会科学系分野との連携で、今までにない海上輸送システムを創出するための研究である。

研究推進の概要

事業計画期間

平成20年度〜平成23年度(4年)

目的・目標

神戸大学は、海に開かれた国際性豊かな総合大学として発展することを目標とし、地球環境の保全と持続可能な社会の創造に全力で取り組んでいる。現在、海の国際的研究教育拠点の構築を目指す大型の「海に関する総合プロジェクト」(仮称)の発足を進めている。神戸商船大学は神戸大学と合併し、世界で唯一の海事科学研究科が誕生した。海事に関する研究資産を継承しつつ、学内の社会科学系研究科との融合・連携により、神戸大学の特色である国際性と地球環境の保全を包含し、世界経済の発展と人類の生活を支える国際海上輸送を創出する、世界に類のない研究の立ち上げを目的とする。今後は、地球規模の海上輸送の研究プロジェクト創成への発展も目標とする。

必要性・緊急性

貿易国家である日本にとって、資源や物資の輸送は重要な問題である。あらゆる輸送手段の中で、海上輸送は輸送比率が最も大きく輸送能力に優れるため、海上輸送の研究は世界経済の飛躍的な発展と人類を豊かにするために必要不可欠である。しかし、従来の海上輸送では、経済面からの大量輸送による船体、積み荷及び船員の安全性のみが最重要課題とされていた。近年、石油枯渇に起因した船舶の燃料費高騰のための輸送の効率化、世界経済の動向の複雑化、さらに船舶機関からの排ガス(CO2、NOx等)の大気放出、船舶バラスト排水内の有害外国産生物による貝毒や土着水生生物の生態系破壊等の地球環境保全が、深刻な問題となった。特に環境面では、このまま放置すれば、限られた海と大気の地球環境は汚染が蓄積され増加の一方であり、不可逆的な損害を与えることが危惧されるため、一刻も早い対策が必要である。他方、自国船籍船の激減と発展途上国の船員の急増に加え、船員教育の未熟さから、船舶の衝突や沈没等の海難が多発しており、今後世界の保有船舶数の増加に伴う大規模な海難発生が懸念される。また、化学物質や液化ガス等の危険物搭載船舶が次世代のエネルギー供給源の輸送として期待されるが、国際テロや海賊からの海上輸送の安全性の強化も必要不可欠である。このような状況にかんがみ、今後、輸送の三原則である安心・安全、経済性及び環境保全を統合した輸送技術のソフト・ハードを改善する総合的な研究は緊急を要する。

独創性・新規性等

日本は、四方を海に囲まれ、海洋と深く関わり合い、社会、経済、文化等を築き、発展してきた。国連海洋法条約(1994年発効)の下で、新たな海洋立国のための海洋政策を国政の重要政策に掲げ、海域の総合的管理と国際協調に取り組む必要性から、「海洋政策大綱」(2006年)が策定、「海洋基本法」(2007)が制定された。本研究推進は海洋基本法の第18〜21条に関連した「海洋環境の保護・保全」及び「我が国の経済及び生活を支える海上輸送の確保」を全く新しい観点からとらえた独創的研究である。「イノベーション25」に謳う「環境・エネルギー等日本の科学技術による成長と国際貢献」にも合致する。特に、海上輸送の研究は再現性が困難かつ複雑であるため、大規模な数値予測とシミュレーションによる問題解決及び自然科学と社会科学系分野との連携による取り組みは新規性に富んでいる。

輸送の三原則を統合した国際海上輸送システム創出の研究