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研究活動

施設・設備

クライナーベルク

クライナーベルク
その他の写真

1. 艇の概要
 平成13年の3月に、小山奨学基金の寄贈により大型クルーザーヨット(44.2 ft)の「クライナーベルク」が就航しました。 特色ある大学、個性的な授業が望まれる時代になり、新しい授業創設の名の下に、大型ヨットの授業導入に海事科学部は挑戦することになりました。内外の海関係教育機関の授業やヨットの調査が進められました。授業という観点から、荒天の海を安全に走行できる堅牢性があり、さらに高速な帆走性能を有すという贅沢な条件がヨットの仕様条件にあげられましたが、条件を満たす豪華で素敵なヨットが進水しました。
仕様
艇名:KLEINER BERG(クライナーベルク)
リグ:スループ
全長:44.2 ft (13.5 m)
最大幅:4.15 m
水線長:11.2 m
喫水:2.3 m
最大船内高:1.97 m
バラスト:4,300 kg
排水量:9,700 kg
エンジン:ヤンマーディーゼル 51HP
船体材質:FRP
デザイナー:NIELS JEPPESEN
造船所:X-YACHT(デンマーク)
定員:23名
平成13年3月進水
Sail No  5938
メーンセール:47.2 m²
No.1ジブ:73.2 m²
No.2ジブ:67.3 m²
No.3ジブ:48.8 m²
No.4ジブ:39.0 m²
ストームジブ
トライスル
スピンネーカー( 0.5, 0.75 ,1.5 OZ ):163.6 m²
ジェネカー(70%, 100%)
担当授業
海事科学部導入科目「海・船に親しむ」
同 総合科目「セーリング」
神戸大学全学共通科目「海への誘い」
毎年300名以上の学生がセーリングを体験する。
セーリングを体験する学生は、神戸大学の全学部(海事科学部、文学部、国際文化学部、発達科学部、法学部、経済学部、 経営学部、理学部、工学部、農学部)におよぶ。

課外活動 外洋帆走同好会
レース、クルージング
公開講座 一般市民対象 「ヨットクルージング」
他の市民活動 セーリングNPOの活動で、約200人/年の一般市民がセーリングを体験する。
2. 研究・教育・実習概要
 担当授業は、海事科学部一年生の導入科目「海・船に親しむ」です。「海へのあこがれ」を運び、多くの学生たちに「クライナー」の愛称で親しまれています。他に全学共通科目の「海への誘い」では、全学部(文学部、国際文化学部、発達科学部、法学部、経済学部、経営学部、理学部、医学部、工学部、農学部)の学生たちも乗り込みます。学生たちに自然体験、海洋環境、セーリング技術をはじめ海洋レジャーとしても、海を身近な存在と感じさせています。 近代的でハイテクなヨットは爽快に走り、「風を動力として 揚力を使い走る」という説明と実体験は知的な好奇心をかき立てています。エンジン音もオイル臭もない爽快な帆走に感動し、世界最高峰のヨットレースの一つであるアメリカ杯の話では、黒船の時代、「There is no second」とビクトリア女王がかわした言葉、女性の喜ぶ有名ブランドバッグのスポンサーの話など、雑学ですが学生諸君は結構聞き入っています。大型ヨットですので、学生がコミュニケーションを取らなければ、操船も後片付けもできず、指導者側からは教育的な価値が高い教育設備になっています。
維持経費は安くありませんが、その教育的な価値に理解を示してくれる大学に感謝しています。ここでしか体験できない価値ある授業です。「海を愛し、船を愛す、たくましき若人よ、育て。荒海に乗り出す勇気を称え、この船を贈る。」と船内に張られた記念プレートに記載された小山氏の思いは、多くの若者に届いていると学生の表情や言動、アンケートから観察されます。

   研究活動では、クルーザーヨットの指導法の研究に使用されています。ハイテクな研究ではありませんが、「海を楽しみたい」、「海で遊びたい」という近年の日本の社会的要望に応えるべく、安全な海洋レジャー・レクリェーションの普及に貢献しています。他には「冒険教育」があります。ヨットの航海に出かけると必ず荒天の経験があります。近代ヨットは、その安全性は世界的に保証された乗り物ですが、乗り手がその操船ができるかどうかが事故への分かれ道です。学生諸君は、必死になって日頃練習したセーリングスキルを駆使して、危険な状況を乗り切ってきます。「身体的、精神的な過酷な課題の克服体験により、人間が成長していく」は、英国で一般的に考えられている教育観ですが、その体験をする状況が出現します。効率主義の現代日本では優先順位の低くなっている、「人間としての成長(全人的教育)」が研究テーマです。「強くたくましい人材の育成、リーダーシップの育成」は米国海軍士官学校のセーリングプログラムにも観られますが、「2番では意味の無い戦争下での精神力の育成」とは違い、普通の一般社会を生きていく「強くたくましく生きていく能力」は、WHOなどで提唱されているライフスキルに通じる内容です。「海を教育の場とした海洋教育プログラムの作成と教育効果の検証」がひとつの研究の方向性ですが、他にもクライナーベルクは、教育、研究設備として学内外の借用、共同使用が可能です。
課外活動(外洋帆走同好会 )
 クライナーベルクの進水を機に、クルーザーヨットの課外活動がスタートしています。現在部員数は21名、女子学生も在籍しています。普段は小型クルーザーヨット(J24クラス2艇)を使用して、芦屋、西宮周辺海域で練習し、月1回くらいの割合でクライナーベルクでの大型艇の練習をして、4月には舵杯(姫路YH)、5月には神戸祭りヨットレース(須磨YH)、8月には阿波踊りヨットレース(徳島YC)と夏クルージング(瀬戸内海約7日間)とクライナーベルクでのセーリングを楽しんでいます。平成18年、平成19年と神戸祭りレースではクルーザークラスIIで連覇し新聞にも報道され、またヨット専門誌のKAZI誌(平成18年12月号)で紹介されています。 全日本外洋帆走学生連盟へ加入し、神戸大学体育会団体への承認申請中です。平成19年3月には神奈川県葉山マリーナでの全日本学生外洋帆走選手権に参加して7校中5位と初陣としては健闘しました。
一時は上位にいましたので、近年中に優勝して世界選手権への切符を手にしたいと意気込んでいます。
社会的活動
 一般市民を対象とした公開講座
クルージングヨット」は毎年開催され、神戸→牛窓(岡山)→小豆島への夜間航海を含む2泊3日の瀬戸内海クルージングに、40代〜60代の社会人が参加しています。マスコミにも取り上げられ市民にも海の楽しさを広報する役目を果たしています。他にセーリングNPOの活動で年間約200名がセーリングを体験し、海洋少年団指導者研修会などの活動実績があります。