本学で学びたい方へ一般・企業の方へ在学生の方へ卒業生の方へ教職員の方へ

HOME > 研究活動 > 受賞・新聞記事など > 大型車のタイヤ脱落事故ついて福岡名誉教授が新聞にコメントを発表しました

研究活動

受賞・新聞記事など

大型車のタイヤ脱落事故ついて福岡名誉教授が新聞にコメントを発表しました

大型車のタイヤは100キログラム程度の重量があり、昨今その脱落事故の増加が大きな社会問題となっている。福岡名誉教授は2007年から2009年の3年間、(独)鉄道運輸機構から委託を受けて、野村准教授とともに「大型車の車輪脱落事故の撲滅と安全管理技術に関する基礎的研究」というテーマに取り組んだ経験がある。今回、1月12日に群馬県渋川市で起きたタイヤ脱落事故に対して、複数の大手新聞社からインタビューを受け、毎日新聞の全国版には事故の原因について福岡名誉教授のコメントが掲載された。

上記の研究テーマを実施していた頃、タイヤはいわゆるJIS方式で締結されていた。その問題点の分析・解明と解決策の呈示が研究の目的であった。その後、2010年頃から締結方法がISO方式に変わり、事故の激減・撲滅が期待されたが、国土交通省によると事故件数が2011年の11件から増加し続け、2020年度には131件まで増加している。この原因について、福岡名誉教授は以下のように分析している。

JIS方式もISO方式も左側後輪に事故が集中していることは共通であるが、前者がボルトの疲労破壊、後者はナットのゆるみによる脱輪事故が多くなっているのは、ISO方式へ変更した際のナット形状の変更が原因のひとつではないか。JIS方式では、ナットは球面座になっていたので戻り回転しにくい。そのためにボルトの疲労破壊という形でトラブルが発生した。一方ISO方式では、ナット座面が平面となっているため、ナットのゆるみという形でトラブルが発生するケースが多くなった。いずれにしても、規定の軸力でボルトを締め付けていれば、ボルトの疲労破壊もナットのゆるみも発生する可能性が低いというものである。

以上のような状況を受けて、国土交通省は2月24日に事故の原因調査・分析・予防のための会合を開催する予定である。


JIS方式ホイールの疲労試験装置
JIS方式ホイールの疲労試験装置



【参考資料】

大型車タイヤ脱落急増:毎日新聞、2022年2月24日掲載