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キャンパスライフ

教員のエッセイ

「Malmöからの便り」

 Malmöてどこ?、という人がほとんでしょうから、今回はMalmöについてお話します。ちなみに私は、MalmöにあるWMU(World Maritime University:世界海事大学)に来ていて、WMUについてはまた次の機会にお話できたらと思っています。といっても、こちらに来て2ヶ月しかたっていませんのであまり詳しいことは書けませんのでご容赦ください。


マルモ地図
マルモ
地図上の赤印がマルモの位置です
(地図はwww.malmo.comから引用)

 マルモは北欧スウェーデンにあります。日本のガイドブックなどには“マルメ”となっていることが多いのですが、たぶん“マルモ”の方が現地の発音に近いような気がします。マルモはスウェーデン第3の都市で、(ちなみに第1はストックホルム、第2はヨーテボリです)スコーネ地方の南部に位置します。スウェーデンといっても、デンマークの首都コペンハーゲンに非常に近く、電車で30分程の距離です。マルモとコペンハーゲンの間には海があるのですが、2000年7月に全長17kmのÖresund橋が完成し、両都市の間は非常に近いものになったそうです。ですので、日本からマルモに来る場合は、コペンハーゲンまで飛行機、そこから電車でマルモ、というのが一般的です。


Öresund橋
Öresund橋(WMUパンフレットから引用)

Stortorgen(大広場)にある建物
Stortorgen(大広場)にある建物
左は1898年築で国内で最も古い薬局の一つ

 マルモはスウェーデン第3の都市といっても大都会という感じではなく、神戸に暮らしていた私からすると、むしろ小さな町です。でも、大きな公園、赤レンガの建物、石畳の広場や通りがあり、とてもきれいな町並みです。ちょっと前までは冬で、曇り空、風の強い日が多く、非常に寒かったのですが、最近は春が近づいているのがわかるくらいに公園に新しい花が見られるようになってきています。おそらく、これから春、夏と暖かくなってくるにつれ、公園などはいっそうきれいになるであろうという感じがしています(私はそれを見ることなく日本に帰らなくてはなりませんが)。


公園
公園
1月中旬(上)と3月中旬(下)のSlottsparken(公園)の風景

 さて、マルモで暮らしてみて、感じたことを1つ2つ。


 実は、こちらに来て2ヶ月で体重が4kg、5.2%ほど(これで体重がわかってしまいますが)減りました。理由はなにかと考えてみると、一つはやはり食べ物にあるように思います。食べる量が減ったということではありません。量はむしろ増えているかもしれませんが、いわゆる揚げ物を食べる機会がほとんどなく、摂取カロリーが減ったのかもしれません。もちろんカロリー計算をしたわけではありませんので、確かなことは言えませんし、揚げ物がダメということでもありません。


 体重が減った最大の要因と私が考えているのは実は別にあります。それは“歩いている”ということです。寮から大学まで約2.8kmと思うのですが、その往復を歩いて通っています。片道25〜30分かかりますので、1日約1時間の歩行運動をしていることになります。日本での生活は自動車を使っていましたので、ほとんど歩いていませんでした。おそらく1日あたり数分の歩行時間だったと思います。スポーツクラブに入って運動はしていましたが、もちろん毎日ではなく、かなり不定期なものでした。マルモに来て“歩くこと”、“運動すること”の重要性を再認識しました。今の時代は生活の中で運動する機会がどんどん減っています。それは社会の発展を意味しているのですが、そうなると未来はもっと生活の中に運動がなくなっていくと予想されます。そのために人間は運動する機会を自ら作っていかなくてはいけません。スポーツクラブに通うのもその一つの方法ですが、1時間では到底終わりませんので、ここでの生活のように毎日の生活パターンの中に運動があるほうがずっと効率的です。体脂肪計がないので、身体のどこが減ったのかわかりませんが、日本に帰ったら体脂肪を測定するのが少し楽しみです。これで体脂肪が減っていたら万々歳なのです。あとは、日本に帰ってからも生活の中に運動の機会を作れるかどうかです(私の意志の弱さでは、かなり難しいかも)。


 もう一つ、気のついたこと、プールでの話です。運動の話ばかりで申し訳ありませんが、WMUの近くにFritidenというスポーツセンターがあって、WMU関係者であれば無料で多くの施設が使えます。その中に屋内プールがあって、私も時々泳ぎに行ってます。ここで2つ日本のプールとの違いを感じました。1つは、水泳帽をかぶらなくても良いのです。もちろん日本にもそのようなプールはたくさんありますし、それ自体どうということではありません。ただ、髪の毛の長い人が多いのか、プールの浄化能力が低いのかわかりませんが、髪の毛が非常に多く漂っているのです。これには正直、閉口しました。泳いでいると手に髪の毛が絡みつくことが多く、松嶋菜々子が井戸の中で髪の毛を手に巻き付けて叫んでいる映画の場面を思い出しました。日本のプールは帽子をかぶるようにうるさく指導しているところが多いですが、やはりこれは必要な事なんだなと感じています。もし、この水を飲んだりしたらかなり気色悪いことになるでしょう。


スポーツセンター
スポーツセンターの建物

屋内プール
Fritidenの屋内プール
(Fritidenパンフレットから引用)

 2つ目は、プールの利用の仕方です。こちらではプールを利用する多くの人が“泳いでいる”のです。当たり前に聞こえますが、日本のプールでは、レジャープールなどを除くと、おそらく40〜60%(この数字に根拠はありません、私の印象です)の人はプールの中を“歩いている”のです。個人的に、水中歩行は、リハビリや高齢者の運動には適していると思いますが、若い健康な人が行うにはそれほど効率の良いものとは思っていません(長くなるのでこのことを、ここでは詳しく述べません)。私が泳ぐことの目的の一つは基本的に減量ですから、10分間泳を3回くらい行うプログラムにしています。このプールでは多くの人は、私が10分間泳を少なくとも2本行う間、もしくはそれ以上の時間、ほとんど止まらずに泳いでいます。しかも驚異的に遅いスピードで。多くの人が、いわゆる、LSD(Long_Slow_Distance)を実践しているわけです。LSDは運動負荷は小さいのですが、運動時間が長いので、体脂肪の減少に効果的と言われています。一方日本では、比較的短い距離(50〜100mくらい)をある程度のスピードで、繰り返し泳いでいる人が多いように思います(これも、確かなデータはありません。私の印象です)。泳ぐ目的が違うということなのですが、年齢が上がるにつれ、また、水中をただ歩くよりは、“長い距離をゆっくりと泳ぐ”という方が身体には良いと思っていましたので、その通りの風景をここで見ることができて、少し驚いています。 (M.H.)